コロンビア大学のメインキャンパスについて

留学して既に1年弱が経ち、今さらですが僕が通っているコロンビア大学のメインキャンパスについて書きたいと思います。

普段はキャンパス内でもビジネススクールの校舎しか行かず、恥ずかしながらキャンパスの90%以上が何の建物なのかほとんど分かっていなかったのですが、、来週末に控えた高校母校のコロンビア大学訪問・キャンパス案内をきっかけに調べた所、色んな発見やエピソードがありました。

ちなみに、私の母校では昔から2年生の生徒10名前後を対象に、教員の方数名の引率の元、アメリカ研修旅行(主にワシントン・ニューヨーク)を行っています。研修中は、主に国連やOB/OGが在籍している企業、博物館、美術館等を訪問するそうですが、今回僕がコロンビアに在籍しているということでぜひとお話を頂き、キャンパス案内をすることになりました。

今思うと、自分が高校2年生の時に何でこの貴重な機会に申し込まなかったのかという後悔も若干ありますが(そこまで成績優秀ではなかったのでそもそも対象ではなかったかもしれませんが笑)、今回この様な形で母校の大事なイベントの1つに参加できるのは嬉しい限りです。

さて、本題のキャンパスについてですが、まずコロンビア大学のキャンパスはモーニングサイドハイツ、ワシントンハイツ、マンハッタンヴィルの3箇所にあります。その中でもモーニングサイドハイツ(マンハッタンのUpper West Side(UWS)、Broadway 114th Streetから120th Street)に位置するキャンパスがメインとなり、医学部や歯学部等の一部の学部と事務機能を除く全ての学部・大学院が入っています。

このメインキャンパスですが、ミッドタウンからは電車で20-30分の距離です(東京23区内に来たと思ったら、吉祥寺だったという感覚です)。ハーレムが近いこともあり当初治安は大丈夫なのかなと思っていましたが、これまで特に身の危険を感じたことはありません(同級生は何回かハーレム付近で自転車強盗を見たようですが)。

なお、ビジネススクールは何年も前から新キャンパス建設の予定があったのですが、遅れに遅れ現在は2020年以降完成予定の様です。ただこの新キャンパス、現在のメインキャンパスからさらに北に行った所に位置しており、交通の便を考えると個人的には“完成していなくて良かったかなと思います笑。

では、キャンパスの中に入ってみたいと思います(各数字が地図上の番号に対応しています)。

1. Broadway Gates

ミッドタウンから地下鉄でメインキャンパスに来る場合、地下鉄1番線の116st Streetで下車し、出口すぐのBroadway Gatesからキャンパスに入ることになります。

ゲート入ってすぐ右の建物”Pulitzer”は、新聞出版者かつジャーナリストのジョーゼフ・ピューリツァーにちなんで建てられたものです。コロンビアはピューリツァーの寄付によりアイビーリーグで唯一ジャーナリズム大学院を有している学校で、ピューリッツァー賞の選考委員会が設置されています。

2. Alma Mater, Low Library

コロンビアキャンパスで1番の写真スポット、Alma Mater(ラテン語で我らの母=母校)像とその後ろはLow Libraryになります。Low Libraryにはビジターセンターもあり、キャンパスツアー(学部生志望者向け)はここからスタートします。

3. Butler Library

Low Libraryと中央歩道(College Walk)を挟んで反対側にあるのがButler Libraryです。この写真撮影場所であるCollege Walk、1950年代までは車も走る公道でしたが、当時コロンビア大学の学長だったアイゼンハワー(後の第34代アメリカ大統領)が歩行者専用の道路にしたそうです。

Low LibraryやButler Libraryを含めメインキャンパスだけでも22の図書館があり、総蔵書数はなんと1,200万冊近く!になりますが、その中でも最大の図書館がこのButler Libraryです。ビジネススクールの校舎(Uris)から若干離れているため、僕は自習等で使ったことがありませんが雰囲気がとても良いそうです。

4. John Jay, Wallach, Hartley, Hamilton Hall

John Jay、Wallach、Hartleyをはじめ、キャンパス内には学部生用の寮が5つあり、95%以上の学部生はキャンパス内に住んでいるそうです。John Jayには24時間オープンのカフェもあり、さすが学費だけで年間30,000ドル弱する高額なアメリカ大学の施設といったところでしょうか(MBAでは高額な学費が教授陣の高い給料に使われている感じがしますが、学部では多くの教員と施設を賄うために使われていると想像されます。学部だとなんと生徒6人に対して1人の教員がつく上、80%以上の授業が1クラス上限20名となっており、英才教育かつ学生にとっては否が応でも勉強しないといけない環境?なのかもしれません)。

Hamilton Hallは、政治家・憲法思想家・哲学者でアメリカ合衆国憲法の起草者(アメリカ合衆国建国の父の1人)、初代財務長官も務め、コロンビア大学内では最も有名な中退者でもあるアレクサンダー・ハミルトンにちなんで建てられた施設で、学長室や学部生のAdmission Officeなどが入っています。

ちなみに、ハミルトンが中退したのは当然学業不振などではなく、ハミルトンが在籍していた1770年代はアメリカ独立戦争真っ只中で、当時アメリカ軍(植民地軍)総司令官で後に初代総理大臣となるジョージ・ワシントンから副官(砲兵将校、陸軍中佐)の任命を受けたからとのこと。

彼の人生を描いたミュージカル「ハミルトン」は2015年の初演から、2016年にはトニー賞で16部門ノミネート・11部門受賞(僕は全然詳しくないですが、、)、2018年の今でもStubhubでのチケット最安値が300ドル以上と、彼の生涯に対していかにアメリカ、特にニューヨークで関心が高いかが伺えます。

5. Greene Hall (Law School), International Affairs (SIPA)

キャンパスの東側には、日本人の在籍数も20~30名程度と多いロースクールやSIPA(公共政策大学院)の校舎があります。写真はロースクールですが、ビジネススクールの校舎(後で出てきます)と比べ物にならないぐらい綺麗でうらやましい限りです。

キャンパスと中央と東をつなぐ遊歩道・Revson Plazaからはマンハッタンの北から南まで100ブロック程度見渡すことができ、学生の憩いの場にもなっています。

6. Schemerhorn Hall

コロンビアには100以上の専攻があり、学部生は2年生までは特に専攻を指定する必要がありません。このSchemerhorn Hallにはアフリカン・アメリカン研究や地球環境科学、アメリカ初の人類学など多種多様な専攻が入っており、中でもRoom 613はコロンビアから生まれた82人のノーベル学賞受賞者の内、トーマス・ハント・モーガン(遺伝子の現代理論を確立)はじめ6人が輩出されたいわゆる出世部屋?になっています。

7. Pupin Laboratories

メインキャンパスの奥にあり、普段は目立たないPupin Laboratoriesが日本と最も関係が深い場所かもしれません。というのも、ここは世界でも最先端の物理学研究施設であり、第二次世界大戦中には「マンハッタン計画」(アメリカ、イギリス、カナダが科学者、技術者を総動員して原子爆弾を開発・製造した計画)の拠点となった場所だからです。後に広島や長崎に投下される原子爆弾がこの地で開発されたのかと思うと不思議な気持ちになります。

Pupin Laboratoriesは他にも、最初のウラン原子分離、レーザービームやFMラジオの開発が行われた場所として知られています。コロンビア大学は毎年1,000億円の研究費を国から受けており、現在でもこの施設を筆頭に様々な研究で潤沢な資金が活用されています。

8. Havemeyer Hall

Havemeyer HallのRoom 309はコロンビア大学で最も映画に使用された場所で、代表的な作品として「スパイダーマン」や「モナリザ・スマイル」がここで撮影されたそうです。

9. Uris Hall

そして、最後に我らがビジネススクールの校舎、Urisです。こうしてキャンパスを周ってみるとUrisはもうちょっと綺麗にならないかなと改めて思ってしまいます。。

目の前にあるオブジェクトの方が金掛かってるんじゃないかと思いたくなる位です。。

 

以上、コロンビアの簡単なキャンパス案内になります。
もっと学校の雰囲気が知りたいという方は学校HPのVirtual Tourも見てみてください。
http://undergrad.admissions.columbia.edu/visit/virtual-tours

また、もしニューヨークに来られて時間が余った際には、(学部受験生もしくは受験生の親のふりをして)学部生向けキャンパスツアーに参加されてみるのもいいかもしれません。
https://apply.college.columbia.edu/portal/visit

 

最後に、キャンパス案内と併せてコロンビア大学の歴史も簡単に。設立は1754年、アメリカでも最古の大学の1つになります(東大の設立が1877年なのでいかに歴史が長いかが分かります)。元々はキングスカレッジという名称(イギリス国王勅令による設立だったため)でしたが、設立時に位置していたウォールストリートから現在のキャンパスに移転する際にコロンビア大学に名称が変更されました(ちなみにコロンビアは、アメリカ大陸を発見したコロンブスの女性形が語源。アメリカ合衆国やフロンティア精神を象徴する言葉として用いられているそうです)。創立以来229年間は男子校でしたが、1983年から男女共学制に移行し、現在は学部・大学院併せて32,000人以上の学生数を有します。

上記以外の有名な卒業生として、ビジネススクールではウォーレン・バフェット、学部では第44第大統領のバラク・オバマが挙げられますが、その他にも第26第大統領セオドア・ルーズベルトや第32大統領フランクリン・ルーズベルト、元FRB長官のアラン・グリーンスパンなどが多士済々がコロンビアから輩出されました。

 

以上、ご参考になれば幸いです。

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