バリュー投資か、グロース投資か

株式投資に際してよく話題に挙がる論点として、志向するのは「バリュー投資か、グロース投資か」、もしくはこの投資家は「バリュー投資家か、グロース投資家か」という点があります。

一般的には、バリュー投資は割安株を買う手法、グロース株は将来の成長を見越して成長株を買う手法とされています。判断基準として、PERやPBR、ROE、またグロース投資を志向する場合は、売上高成長率やその構成要素として例えば飲食店や小売業等では既存店売上高、FacebookやTwitterなどのソーシャル系IT企業等ではMAU(Monthly Active Users)といった個別指標を特に注視することになります。

個人的にはこの論点は二者択一ではなく、バランスをどう取るかが投資をする上での醍醐味であり、投資家としての力だと思っています。この点は、稀代の投資家であるウォーレン・バフェットが、ベンジャミン・グレアムから教えを受けた割安なだけの企業に投資する「バリュー投資」(シケモク株投資)から、チャーリー・マンガーとの出逢いを経て健全に成長する企業に適正な価格で投資するいわばハイブリット投資に深化させてきたことからも垣間見えます。

ここで、バフェットの投資がグロース投資ではないとしたのは、バフェットにとって成長は目的ではなく、良い事業(何が良い事業かについてはまた別の機会に。)を素晴らしい経営陣が運営していれば成長は自然と付いてくると考えているからではないかと僕は思っています。この点は、バフェットが(英語圏で世界一の経済大国である)アメリカの企業に基本的に投資しているからでもあると思いますし、実際にバフェットも認めている恩恵です。単に成長を重視するだけであれば、やみくもにM&Aをする会社や、顧客や従業員度外視の売上至上主義に走る会社に投資すればいい訳で、バフェットはほとんどの投資でこの様な企業は選んでいません。

入学前にアセットマネジメント業界で活躍されているコロンビアの卒業生の方と飲んだ際に、「コロンビアでバリューインベスティング(=バリュー投資)を徹底的に学べたのは良かった。ただ逆に言うとバリューインベスティングしか学んでいないので、他の投資も学びたかったなというのはある」と話されていて、その時には「(物言う株主とは異なる)アメリカの保守本流のバリューインベスティングを学べたなら十分なのでは」と思っていましたが、今はその意図が分かる気がします。

横道に逸れましたが、結局はバリュー投資に固執して成長を無視してはいけないですし、グロース投資に固執して株価(バリュエーション)を無視してはいけないということだと思います。この点において、僕はオークツリー・キャピタル・グループの共同会長、ハワード・マークスの「Investment success doesn’t come from “buying good things,” but rather from “buying things well.」(著書「The Most Important Thing: Uncommon Sense for the Thoughtful Investor」より)という言葉が今は一番しっくりきています。

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