Block weekの振り返り

先週1週間は、Block week*でCredit market(メインは企業を対象とした債権/債券投資)に関する授業「From Feast to Famine & Back Again Investing in the Credit Markets through Cycles」を受講したのでその振り返り。
*Block weekとは、通常の週1-2×6-12週間の授業ではなく1週間(朝9時-夕方5時)で終了する短期集中授業

Money: Master the Game」やLBSでの授業を通して、債券投資への興味が強くなり受講した授業。担当教授は、大手投資会社Capital Groupで13年経験を積み、現在は機関投資家向けのブティック債券投資会社Weaver C. Barksdaleでポートフォリオマネージャーを務めるEllen Carr教授(投資業界でまだまだ少数派と言われる女性プロフェッショナル)。授業の構成は、概ね教授による講義が5割、ゲストスピーカーによる講演/プレゼンが4割、生徒のプレゼン等が1割といった内容。

内容としては、教授から企業貸付(特にLBOローン)や社債投資市場の概況、社債投資に際しての基礎知識、企業貸付や社債投資から切り離せない市場サイクル、個々の企業貸付や社債投資市場に際して考慮すべき事項に関しての講義と、各テーマに関連したゲストスピーカーからの講演/プレゼンと、包括的かつ実務的な中身となっており、債権/債券投資に興味のある人にはお勧めの授業。

また、1,000兆円近くの社債残高を有し(日本の60兆円と比較して15倍以上)、その他モーゲージ債で1,000兆円以上、資産担保証券(Asset-Backed Securities)でも150兆円以上を有するアメリカの金融市場の大きさと懐の深さも実感する授業(一方で、この大きさと懐の深さはリーマンショック時の様に金融市場が巨大で複雑なリスクを抱える土台にもなりかねないですが)。

日本で債権/債券投資に関わる機会がなく、これまでの投資関連の授業やインターンでも基本的に株式投資が対象であったため、個人的にはほとんどがゼロからの学びや発見。授業を終えての債権/債券投資に対する印象としては、ファンダメンタルな定性分析では株式投資と共通する面が多いものの、Valuationにおいては金利や流動性、倒産可能性、担保やコベナンツなど幅広い要素を考慮しなくてはならず、より専門性が求められる分野なのかなといった感じです。

教授も受講している生徒も総じて特に優秀かつ意欲が高かったこともあり、授業後に話したアメリカ人同級生(卒業後セルサイドの株式アナリストに就職予定)が「こんな優秀な人が集まる業界だと知って、債券アナリストじゃなくて株式アナリストで本当に良かったよ(笑)」と言っていましたが、そんな冗談も分からなくもない気がします。

さて、この授業で僕が一番楽しみにしていたのは、オークツリー創業者で著名なコントラリアン投資家、ハワード・マークスをゲストスピーカーに招いてのスピーチ。市場サイクルをテーマにしたスピーチの内容自体は極めてシンプルでしたが、「プロの投資家にとって最も重要なことはリスクマネジメント」、「この40年で世界は大きく変化しており、僕達も常に変化にオープンでなければいけない」、「(今のパッシブ投資への大きな流れに関して)パッシブ投資が素晴らしいのではない。大抵のアクティブ投資がひどすぎるのだ」といった要所要所のコメントからは新しい学びや視点が得られました。

振り返って、漠然とではありますが日本にももっと多様な金融や投資があってもいいのではと思うと同時に、個人的にはハワード・マークスやレイ・ダリオをはじめ経済や人間に対する本質的な知的探求心とインサイトを持った投資家・ビジネスマンでありたいという思いが強くなる授業でした。

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