LBSでの授業の振り返り

先週、LBSでの3か月間のExchange Program(秋学期)が終わったので、簡単に授業の振り返り。

今回僕が取った授業は、「Financial Statement Analysis」、「Equity Investment Management」、「Banks and Financial Institutions」、「Topics in Asset Management」の4つ。

Exchange Programに参加するに当たって、LBSでも「Value Investing」の授業を取りアメリカとの実務上の違いを把握するのが一番の目的でしたが、この授業は定員が限られていることもあり残念ながら取れませんでした(Master In Financeプログラムを受講している学生に優先的に枠を割り振っているのではないかという話もありますが、定かではありません)。その他の授業に関しては、「Hedge Fund」など面白そうな授業が(今年だけか分かりませんが)秋学期ではなく春学期に固まっていることもあり、何かしらアセマネの仕事に活かせるかという観点から結果的に上記の4つになりました。下記、簡単な授業の概要とその感想です。

①Financial Statement Analysis
会計やコーポレートファイナンスを学んだ上で、株式投資の基礎を学ぶのにお勧めの授業。様々な企業がどの指標で評価される傾向にあるか(売上の成長なのか、安定収益なのか、収益を確実に生み出す資産なのか、または配当なのか)を分類し、そのバリュエーション上のキードライバーの将来予測をするためにどの様な定性的・定量的分析をしなくてはいけないかを会社の財務諸表、アニュアルレポート、FactSet*を活用しながらディスカッションに近い講義形式で学んでいく授業(そういった意味で授業タイトルは「Financial Statement Analysis」より「Equity Analysis Foundation」の方が合っているかもしれません)。

*Bloombergと並ぶ企業分析ツール、Bloombergよりユーザーインターフェースに優れていて、財務数値やアナリスト予測数値のレイヤーが細かい印象

基礎的すぎて面白くないという意見もありますが、所々実務的な論点も混ぜられていて、体系的に株式投資を学び直すという観点では良い授業。また、教授(Dr Alastair Lawrence)の丁寧かつ学生の議論を上手く引き出していく指導法は他の同級生にも好評で、基礎的かつ(株式投資に関連する仕事をしていない学生にとっては)退屈そうに見える授業でも教授でここまで変わるかと改めて実感。

②Equity Investment Management
前述の「Financial Statement Analysis」が良い意味で期待を裏切られた授業とすると、こちらは(期待が大きかっただけに)悪い意味で期待を裏切られた授業。何が理由なのかなと振り返って考えていましたが、アカデミックな教授が教える体系的で無い授業は自分に合わないのかなと思います。

一応コンセプトとしては、投資に関する一連のプロセスを学ぶ授業となっていますが、主体が誰なのか(実際に運用する人なのか、運用を任せる人なのか)、いつの時代に投資/投資委託するか、どの様な目的・戦略で投資するかが限定されていないため、テーマとして広く、結果として投資に関する色んな理論とケースを断片的に学ぶといった内容です。

コロンビアの投資系の授業では、バリバリの実務家(ポートフォリオマネージャーや元インベストメントバンカー)が自らの運用経験やアドバイス経験も含めて教えることが多いため、多少授業が脱線しても話が偏っていても特定の点が濃いため学びになることが多いのですが、この「Equity Investment Management」の教授(Narayan Naik)の場合、授業の進め方が体系的ではなく自分の好きな話をするタイプなので線での学びが難しく、かと言って特定の点が濃い訳では無いため所々に落ちている薄い点を学生が拾っていくことになります。授業で取り上げられる個々のリスク・ポートフォリオ・パフォーマンス理論に関して当然ながら学んでおくに越したことはないのですが、自分で本を読んだ方がよっぽど効率的なのではという感想です。

ただ、この授業のグループ課題の1つとなっていたStocktrak(株式投資シュミレーションゲーム)に関しては、他の交換留学生とより深くコミュニケーションを取る、自分なりのポートフォリオを組む(今回僕は最近のマーケット環境を見てLong-Short戦略を取ってみて、たまたま上手くはまっただけですがLong-Short戦略が機能する一面を実感することができた)、他の学生がどの様なポートフォリオを組むか(Long-onlyのアクティブ投資、ETF分散運用など)垣間見ることができたという点で良かったかと思います。

③Banks and Financial Institutions
他に取りたい授業が無く、金融機関のバリュエーションを学ぶことを主眼に取った授業。と言ってもバリュエーションに関しては授業の1/5程度でしかなく、大半は金融機関が市場で果たす役割や機能、金融機関に係る規制や様々な金融商品に関する講義やケースが主。

④Topics in Asset Management
今回唯一Block weekで取った授業(通常の週1-2の授業ではなく、1週間にまとめて受ける授業)。講義と様々なゲストスピーカーのスピーチやプレゼンを通して資産運用に関して包括的に学ぶことができ、また授業以外でも実務家とのランチやディナーがセッティングされており、資産運用ビジネスの実務とそこに携わる人に関して学ぶのには最適な授業。

特に、各Endowment(大学基金)やSovereign wealth fund(政府系ファンド)の事例からアセットアロケーションの歴史を学び、Quilters-Cheviot Investmentsのマネージングパートナー・David Miller氏や、Frontier Asset Managementの創業者兼CEO・ Michael Azlen氏、そしてAQR Capital Managementのパートナー兼EMEAヘッド・Chris Palazzolo氏のプレゼンや質疑応答を通じて最新動向やその背景にある考え方に触れられたことが強く印象に残っています。

コロンビアの授業ではどちらかと言うと個別銘柄選定(Stock Selection)に寄った授業やゲストスピーカーの話が多く、これはこれで面白いのですが、LBSの授業では全般的に一歩引いた視点から資産運用を捉え、そもそもアセットアロケーションどうするの?という所から学ぶことができたのは大きかったです。そして、資産配分(Asset Allocation)、時間軸設定(Time Horizon)、そして個別銘柄選定の3つが上手く回って初めて理想的な資産運用ができるというのがこの授業の一番の学びです。

 

 

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