Global Immersion Program (GIP) in UAE

昨日まで1週間、Global Immersion ProgramでUAEに行ってきました。

Global Immersion Program(GIP)とは、特定の国のビジネスや文化、法制度などを授業および現地での企業訪問等を通して学ぶ授業です。6-7週間、週に1コマの授業を受けた後、1週間現地に出向き、企業訪問や現地での起業家との交流をしたり、またプログラムによっては現地企業の短期コンサルティングプロジェクトを行うこともあります。

今回僕はUAE(主にドバイで、一部アブダビ)に行くことにしました。これまで行ったことが無く、またこれからもなかなか行く機会が無い場所ということでイスラエルやアフリカも選択肢にあったのですが、これらの国は特に人気が高く、ビッティングの結果UAEになりました。若干残念ではありましたが、中東も初めてだったので良い機会です。

訪問は日曜からスタート(ドバイでは金・土曜が休日扱いで、日曜が1週間のスタートとのこと。初めて知りました)し、木曜まで毎日2つ、計10団体/企業、Abu Dhabi Global Markets、Mubadala、Fetchr、Emaar、Emirates、Nakheel、Sharjah Entreprenuership Center、RAK Ceramics、Crescent、Bank of Sharjahといった所を訪問してきました。

その中でも、特に印象に残った会社の概要を簡単に。

・Fetchr
今回の訪問先で唯一のベンチャー企業。UAEを含め世界には住所を有していない人がなんと40億人!いるとのことで、AmazonなどのEコマースが普及するのに大きな弊害となっていたことに着目し、GPS位置情報を活用して配達するテックロジスティクス会社。
これまでは都度物流業者が宛先人と電話でやり取りし配達をしていたが、宛先人と連絡が取れない、連絡が取れても結局場所がよく分からない等の理由で不配達率(Undelivery rate)が20-30%にもなっていたのを、GPSを活用することで6%程度まで削減。
Amazonを始め大手アパレル会社等と次々と契約を結び、売上は急拡大。直近のシリーズBでは中東史上最高額となる41百万ドル(約45億円)の資金調達を達成したとのこと。
今回はCEOやCFOから直々に話を聞くことができ、非常に貴重な機会となった。コンサル出身のCEOのエネルギーもさることながら、彼がこれまでの大きなチャレンジとして、ベンチャーキャピタル等の土壌がなく、欧米諸国の投資家からも敬遠されがちな中東における資金調達の困難さを特に挙げていたことが印象的で、リスクマネーの重要性を改めて感じる一幕。
同社は、当初からの世界展開をターゲットとし、既に他の中東諸国での展開も積極的に進めているとのこと。日本でもメルカリなど様々なテックベンチャー企業が出てきているが、ここ中東でも起業やイノベーションの波が着実に大きくなっていることを実感する訪問だった。

・Emaar
UAEの最大手不動産開発会社であり、世界一高いビルであるブルジュ・ハリファや隣接する世界一大きいショッピングモールであるドバイモールなどドバイの様々な超大型開発事業に関わっている。ドバイの街を移動していると「Emaar」のロゴを何度も目にすることからも、その影響力の大きさが窺われる。
今回プレゼンをしてくれた方の1人はCBS出身で、卒業後ニューヨークの不動産会社で1年弱働いた後にドバイに移ったそうだが、Emaarとして携われる開発案件規模の大きさと自らの責任範囲の広さがやりがいだとのこと。ニューヨークに立地するCBSの学生は、基本的には卒業後ニューヨークで働きその熾烈な競争を生き抜いていく?ことがデフォルトになっているが、自らの志向と強みを活かして世界の様々な場所で活躍することも1つの生き方だなと思わせてくれる訪問だった。

・Emirates
日本人からすると航空会社のイメージが強いが、実は色々な事業を行っているコングロマリット。ただ今回の訪問のメインは、エミレーツ航空のキャビンアテンダント訓練所の見学。歴代のファーストクラスのシートや実際の飛行機と同じ機内設備を施したキャビンアテンダント訓練施設、非常時のスロープや救命ボートなど普段はなかなか見ることができない施設ばかりで飛行機好きの僕にとってはこの上ない訪問だったがEmiratesの今後の事業ポートフォリオや戦略に関する話も聞きかったな、という所です。

・Nakheel
Emiratesと同じ日の午後に訪問したが、簡単なプレゼンテーションの後はなんと専用ボートでのParm Islands(ドバイ沖合いに造られたヤシの木形の人工島群 )一周プチクルージング。まさにザ・ドバイという様な体験だった。

・Sharjah Entreprenuership Center
ドバイ、アブダビと同様発展している地区(Emirates、現地の方の発音ではエミラテ)の1つがSharjah地区。ここにスタートアップを促進する目的で設立されたのがSharjah Entreprenuership Center。大学も設置されているほか、各種勉強会やビジネスコンテストなども開催される複合施設。また、自らシードステージやシリーズAでの資金提供もしているとのこと。
1つ気になった点として、UAEではパブリックエクイティマーケットがあまり発達していないことから、スタートアップのエグジットがどうしても大企業への売却になってしまうとのこと。今後株式市場も広く発展していくのか、もしくは他の資本市場でのIPOが増えていくのか個人的には興味があります。

・RAK Ceramics
大手セラミック会社の1つであり、食器から洗面器、バス、トイレなど様々な製品を製造・販売している会社。デザイナーなどヨーロッパから優秀な人材を採用していることも特徴。


中東と言うとどうしても発展途上の地域というイメージで捉えがちですが、今回滞在して少なくともドバイに関しては世界的な他の都市と比較しても遜色ない街のインフラがあるなという印象です。むしろ世界一高いビルであるブルジュ・ハリファ、世界一大きい水槽を備えた水族館や最新VR機器を備えたアミューズメントパークが入った世界一大きいショッピングモールであるドバイモール、七つ星ホテルと言われるブルジュ・アル・アラブ ジュメイラといった商業施設は世界の中でもでも抜きん出ていると思います。

一方で乱立気味の商業施設や高層マンション・ビルの先行きを危ぶむ声、街に歴史が無いと揶揄する声も一部同級生にありましたが、そんな見方も振り切って国そしてそれぞれの地区として魅力を出していこうとするエネルギーに溢れたUAEに今後も注目です。

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